残業代翌月支払いの会社の場合、「3~5月に残業すると(残業代が高い)と保険料が高くなるので損!」
…という話を耳にしたことがありますか?
損得で考えてしまうと難しいのですが、結論から申しますと
手取りは少なくなるけど必ずしも損はしていないといったところです
今回はこの噂について詳しくお話ししようと思います
噂のワケ
社会保険加入者は全員、4~6月支給の給与を基に、その年の9月から翌年8月までの1年間の社会保険料を決定する「定時決定(算定基礎届)」というものを行っています
残業代は翌月払いの会社が多いと思いますので、3~5月の残業代が増えた場合、4~6月に支給される給与の金額が高くなるため、
この定時決定で社会保険の等級が上がってしまう可能性があります
「3~5月に残業すると保険料が高くなるので損!」と言われているのは、定時決定があるからということが理由です
保険料が高くなると、確かに手取りは少なくなります
社会保険って?
社会保険とは国民のリスクに備えて国が実施する仕組みです
社会保険には3種類あります
社会保険の種類
- 健康保険
- 介護保険(40歳以上65歳未満の方)
- 厚生年金保険
・健康保険
業務外の病気やけがをした際の保険給付
・介護保険
要介護状態となった時の保険給付
・厚生年金
老齢・障害・遺族となった時の年金給付
給付額が上がるかも!?
高い保険料を納めている方は給付をもらう場合、高い金額でもらえる権利があります
いくつか例を挙げてみます
給付の例
- 将来の年金
- 傷病手当金
- 出産手当金
・将来の年金
厚生年金保険料は、将来の年金額に反映されます
加入期間の保険料を納めた積み重ねが老後の年金額のため、納めた金額が高ければ高いほど受け取る年金の金額も増えます
・傷病手当金
勤務外のけがや病気で療養のため4日以上休業した場合、健康保険から支給されるのが傷病手当金です
最大で1年半もらえます
休業前1年の報酬月額(社保の等級)を平均し、その3分の2がもらえます
・出産手当金
出産時に健康保険から支給されるのが出産手当金です
産休前過去1年分の報酬月額(社保の等級)が支給額に反映されます
雇用保険に関係する「育児休業給付」と「失業保険」も過去半年分の報酬額が反映されます
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救済措置もある!?
毎年3~5月のみ繁忙期で、その後ずっと残業ゼロという極端な場合には救済措置も設けられています
標準報酬月額の等級(社保の等級)が2段階下がるような違いが毎年確実に起きるようであれば、「年間報酬の平均で算定」という仕組みを用いることもできます
まとめ
3~5月はコントロールして残業しないようにする!…なんてことができたらベストですが、
3月は年度末で忙しい時期ですし、残業しないというのも難しいですよね
(残業したくないですが私もなかなかできません…)
「保険料が高くなると損!」という噂ですが、損得で考えずに給付額が高くなることもあるんだよってことを
頭の片隅にでも置いておいていただけますと幸いです
最後まで読んでいただきありがとうございました
※2023年3月時点の情報です