「算定基礎(定時決定)」というワードを聞いたことがありますか?
給与事務担当者が1年に1回、7月ごろに行っています
給与事務の仕事をしている私たちには大きな年次業務でなじみがありますが、あまり聞き慣れないワードですよね
実は社会保険に加入している方全員に関係する重要な手続きをしていますので今回は「算定基礎」についてお話しします
「算定基礎(定時決定)」って何?
「算定基礎(定時決定)」とは、1年に一度、社会保険に加入する従業員の「標準報酬月額(簡単に言うと社会保険料)」を見直すための手続きです
「標準報酬月額」は、賃金・給与・手当等、社会保険加入者が受け取る報酬額の平均を予め定められている等級に当てはめ、健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料(40歳以上65歳未満の方が対象)の社会保険料を算出します
毎年4~6月に社会保険加入者が受け取った報酬額を記載した書類のことを「算定基礎届」と言います
毎年7月10日までに会社は日本年金機構に提出しなければなりません
日本年金機構は算定基礎届をもとに、実際の報酬と現在の標準報酬月額がかけ離れていないか見直しを行い、社会保険料額を算出します
そして、10月支給分の給与から社会保険料額が「算定基礎」に基づいた額に変更になります
4~6月の報酬額で10月以降の社会保険料を決定しているため、「3~5月は残業すると損」と噂されているのはこの「算定基礎届」が理由です
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3~5月は残業すると損ってホント!?
残業代翌月支払いの会社の場合、「3~5月に残業すると(残業代が高い)と保険料が高くなるので損!」 …という話を耳にしたことがありますか? 損得で考えてしまうと難しいのですが、結論から申しますと 手取り ...
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「月額変更届(随時決定)」と何が違うの?
月額変更届とは、毎月支給されている給与や手当等の固定的賃金に大きな変動があった際に、標準報酬月額を見直すため提出する書類のことです
「算定基礎」と同じように思えますが、年1回決まった時期に毎年全員提出する「算定基礎」に対し、「月額変更届(随時決定)」は給与に大きな変動があった対象者のみ提出します
「月額変更届」提出対象となるのは、昇給や降給で固定的賃金が変動し、その後3ヶ月分の報酬の月額平均と、現在の標準報酬月額に2等級以上の差があった従業員の方です
固定的賃金の変更があった支給月から起算して、4ヶ月目からの保険料が変更になります
「算定基礎」の対象者
「算定基礎届」は、休職中や産休育休中の人も、70歳以上の健康保険被保険者(厚生年金は被保険者でない)も、基本的に社会保険加入者全員が対象です
しかし、中には「算定基礎届」の対象とならない方がいます
以下に該当する方は「算定基礎届」の対象にはなりません
対象にならない人
- 6月30日までに退職した従業員
- 6月1日以降に社会保険に加入した従業員
- 7月改定の月額変更届を提出する従業員
- 8、9月に月額変更届の提出が予定されている従業員
8,9月に月額変更の方は、算定基礎でなく月額変更が優先されます
まとめ
基本的には社会保険加入者全員、10月の給与より社会保険料が変更になり、手取りの金額にも影響してくるかもしれませんので要チェックです
月額変更の予定がない場合は1年間、算定基礎で決定した保険料で徴収されます(保険料率改定の場合あり)
難しく感じてしまうかもしれませんが、年に一回、給与事務担当者がこんなお仕事をしてるんだよってことだけでも知っていただけますと幸いです
最後まで読んでいただきありがとうございました
※2023年7月時点の情報です